問題解決する栄養療法⾷品

リーダーインタビュー

ここで学べること
栄養療法の世界とは、栄養療法ができることは?
今、注目の「栄養療法」について、この世界を牽引する第一人者に伺いました。

栄養補助食品は"自己投資"
吟味して「特別用途食品」など
信頼できるものを


※嚥下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示を行う食品のこと。消費者庁が表示許可を出す。


特別用途食品「個別評価型病者用食品」とは? ≫詳しくはこちら


医師 岡田晋吾さん<第2回配信>


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1986年防衛医大卒。同附属病院、函館五稜郭病院外科科長などを経て、北海道函館市に「北美原クリニック」を開業する。冬の寒さが厳しい地域にあり高齢患者の通院が大変なことも考慮し、訪問医療にも積極的に取り組む。「地域に信頼され、貢献できる"かかりつけ医"」として、早期から褥瘡対策やNSTの地域での普及・推進に尽力している。医療法人社団守一会 北美原クリニック専門は消化器内科、肛門科、外科、胃・大腸内視鏡検査、褥瘡管理、胃ろう管理。


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 著書紹介 


『キーワードでわかる臨床栄養 令和版 栄養で治す!基礎から実践まで』




Web版はこちら


https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/index.html



 過去の連載 



Q.栄養状態から、体調不良の原因を探ることができるのですか?


医師は、体重減少や
食欲減退などをきっかけに、
栄養状態から病気を発見することも。


我々は、かかりつけ医として1、2ヵ月に一度、定期的に来られる患者さんを診ます。その際に一番は、"体重が減っていないか"、"食欲があるかないか"の変化を診ます。そして、食欲が減った、吐き気がするといった消化器の様子から患者さんの栄養状態を診て、そこからガンや他の病気の発見に至るのです。さらに、血液検査をすることで、亜鉛が足りないので味覚障害の可能性、鉄分やビタミンB12が足りないので貧血の可能性など、不足する栄養素から症状を探ります。
高齢者の場合、一番重要なのは"活動するエネルギーの素となるカロリーが摂れているか"。カロリー不足は、低栄養になり、免疫力が落ちてしまいます。免疫力がないと感染症になりやすい、傷ができても治りにくい、酷い場合は体重が減少して、いろいろな病気を起こし死に至る、ということもあります。
高齢者は栄養状態が良くないことが多いので、早めに栄養不良を見つけ、栄養支援をすることが大事です。


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Q.栄養補助食品は、どんな効果を発揮しますか?


栄養状態の改善だけでなく、
生活の質を改善する。
栄養補助食品は、自己投資と捉えて。


高齢者の方はお二人、またはお一人暮らしが多いので、自分たちで作った食事だけで栄養を賄うのがなかなか難しいのが現状です。食事だけでは賄いきれないカロリーを早く手軽に摂るには、栄養補助食品をお勧めしています。栄養状態を改善するという点に関して、栄養補助食品はとても便利で、早く効果が出ます。また、栄養補助食品の中には、糖尿病の方の血糖値を押さえるもの、呼吸疾患がある方には苦しくなく呼吸できて栄養が摂れるものなど、目的に応じていろいろな種類があります。うまく活用することで、呼吸が楽になったり歩けたりするなど、患者さんのQOL(生活の質)も高められるのです。我々の最終的な目的は、患者さんが自分のしたいことを好きにできること。その目的に対して、栄養補助食品はとても効果があると言えます。
購入にはお金がかかりますが、適切なものをしっかり選んで自分に投資すると考えれば、それほど大きな負担にはならないでしょう。そのためには、良い栄養補助食品をしっかり選ぶことが大切ですね。


Q.数ある栄養補助食品から、何を基準に選べば良いですか?


国のお墨付きを得た「特別用途食品」など
根拠がある食品を選択して。


栄養補助食品は、昔に比べてずいぶん進化しています。20年前には「カロリーがあればいいだろう」と、味もまずいし...、「鼻を摘んで飲みなさい」というようなものもありました。今は、ずいぶん、おいしくなりましたね。
飲み込みが難しい患者さんが飲み込みやすいように調整したゼリー状の「えん下困難者用食品」や、床ずれ(褥瘡)をお持ちの患者さんが早く傷が治るように栄養成分を配合した「個別評価型病者用食品」など、「特別用途食品」という根拠が認められた、国のお墨付きを得た栄養補助食品も登場しています。我々は総合的に判断して、患者さんの持病に合わせて紹介しています。
一方、配合された栄養成分の効果効能がよくわからないもの、根拠が説明できないものなど、怪しいサプリメントもあります。患者さんがそうしたものを持ってこられて「飲んでいいですか」とおっしゃることもあるのですが、我々は「説明できないものは止めてください」と申し上げます。やはり、しっかりした信頼のおけるメーカーが作ったもの、配合されている栄養成分の根拠が明確な栄養補助食品をお勧めします。



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【第三回】在宅患者のじょく瘡も早くキレイに治る秘訣は、栄養摂取にあり!国のお墨付きマークを目印に。



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