リーダーインタビュー
今、注目の「栄養療法」について、この世界を牽引する第一人者に伺いました。
在宅患者の褥瘡 も早くキレイに治る
秘訣は、栄養摂取にあり!
国のお墨付きマークを目印に。
医師 岡田晋吾さん<第3回配信>
1986年防衛医大卒。同附属病院、函館五稜郭病院外科科長などを経て、北海道函館市に「北美原クリニック」を開業する。冬の寒さが厳しい地域にあり高齢患者の通院が大変なことも考慮し、訪問医療にも積極的に取り組む。「地域に信頼され、貢献できる"かかりつけ医"」として、早期から褥瘡対策やNSTの地域での普及・推進に尽力している。医療法人社団守一会 北美原クリニック専門は消化器内科、肛門科、外科、胃・大腸内視鏡検査、褥瘡管理、胃ろう管理。
著書紹介
『キーワードでわかる臨床栄養 令和版 栄養で治す!基礎から実践まで』
過去の連載
Q.高齢者の皮膚は、どんな状態ですか?
ご高齢の方は皮膚が脆弱。
風邪が原因で2,3 日寝込み、寝たきり、
「床ずれ(褥瘡)」に発展することも。
ご高齢の方は、ちょっと触れたり、ぶつかったりしただけで、大出血を起こしたり、皮膚がベロンとはがれたりすることがあります。皮膚がめくれると痛々しい状態になるため、介護施設などではご家族から虐待を疑われることもあるほど。原因は高齢者の皮膚が弱くなっていることにあります。
若い頃なら皮膚と皮下組織が潤いを保てているのですが、加齢とともにたんぱく質やコラーゲン、ビタミンなどが不足し、肌がガサガサに乾燥して弾力がなくなってきます。その状態だと、ちょっと触れると皮膚が剥がれてしまう。これは日常的にあり、今では問題になっています。こうならないよう、栄養管理で未然に防ぎたいものです。
ご高齢の方は、ギリギリの栄養状態でも普通に生活していらっしゃる方が多いのです。たとえば風邪を引いて2、3日寝込んだり、食べられなかったり、そんなことで脱水症状や栄養不良になってしまいます。そして、そのまま寝たきりになって、床ずれを起こすことがあります。我々は「褥瘡」と言いますが、十分なたんぱく質やコラーゲンなどの皮膚を構成する栄養素が足りなくなると、皮膚が薄くなって傷つきやすい状態になります。そこに寝たきりなどで体圧がかかり続けると、深い傷を作ってしまうのです。
Q.栄養の積極的な摂取は、褥瘡にどんな影響を与えますか?
褥瘡は栄養摂取により、
早く、キレイに治る。
栄養が不足傾向の在宅患者こそ、効果大。
褥瘡学会でも20 年ほど前までは、褥瘡には、日中も夜間も体位を変え、"体圧をコントロールすること"が"栄養"よりも重要だと言われていました。ところが、最近になって、ベッドが良くなり、体圧をコントロールできるようになってくると、改めて"栄養" を改善する方が、褥瘡の予防にも治療にも良い、というエビデンス(科学的根拠)が出てきたのです。
なぜ、今まで栄養が注目されてこなかったかというと、専用のベッドや体位変換などで"体圧が分散"され、日々の"スキンケア" によって褥瘡の部分の潤いが保たれる。それによって褥瘡は治っていくからです。栄養療法を活用しなくても、治ることは治る。看護師さんの努力の賜物ですね。ですが、最近では栄養をきちんと整えてあげる方が、"より早く、よりキレイに治る" というエビデンスが出てきました。実際に栄養をしっかり摂った患者さんと摂っていない患者さんを比較すると、栄養を摂った人々の方が早く治ることが証明されたのです。
今は、在宅でも、良いベッドが借りられるので、褥瘡が病院と同じように治る時代になりました。ですが、在宅では病院より「患者さんの栄養状態が悪い」という課題があります。栄養状態が悪いことで治りにくくなることがあるので、そういう意味からも、在宅患者さんが必要な栄養を積極的に摂ることは、非常に効果があると思います。
Q.褥瘡にお勧めの栄養補助食品はありますか?
国のお墨付きを得ている食品は
ためらいなく紹介できる。
患者は、マークを選ぶ時の目印にできる。
我々も一緒に研究してエビデンスを出してきた栄養補助食品に、「ブイ・クレスCP10( シーピーテン) ミックスフルーツ」があります。褥瘡の改善に関与する栄養成分として、粒子の小さいコラーゲンペプチドや、その働きを助けるビタミンC や亜鉛が配合されています。一日に摂る量としては、これ1本で十分。味も飲みやすいですし、配合の栄養成分も根拠がはっきりわかっているので、患者さんに説明すると、皆さん、途中でやめることなく、継続して飲んでいただけます。また、患者さんのご家族が「私もこれ飲みたい」と飲まれる方もおられます。「摂りやすい、おいしい」などの理由で飲まれているようです。
我々医師は何よりエビデンスを大切にします。「ブイ・クレスCP10( シーピーテン) ミックスフルーツ」は、根拠に基づいて消費者庁から「褥瘡を有する方の食事療法として使用できる食品」として、お墨付きを得ています。ですから、何のためらいもなく紹介できますし、使いやすい。栄養補助食品は、効果がある、と根拠を出すのがなかなか難しい。そういう意味では「個別評価〇〇〇型病者用食品」として表示許可を得たのは、素晴らしいし、選ぶ方にとっては、目印になると思います。
特別用途食品「個別評価型病者用食品」とは? ≫詳しくはこちら
※内容は2021年8月取材当時のものです。