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食事介助の注意点とは?家族もできる姿勢や飲み込みの観察ポイント
・公開日:2026年8月24日
・ゲスト:高田耕平(はなすたべるくらす舎 代表/言語聴覚士)
・所要時間:本文約5分
本記事はPodcast番組「専門家が答える介護飯(かいごはん)ラジオ」第23回のWEBページ版です。
介護における「食事」や「痩せ」に関するお悩みに、食支援の専門家が回答します。
目次
1:誤嚥を防ぐための安全な食事姿勢とは?
2:食事介助のタイミングとスプーン操作のコツは?
3:交互嚥下のメリットとは?
4:食事介助の負担を減らしつつ、食事量を維持するには?
5:FAQ
6:今回のまとめ
■ゲスト・パーソナリティ紹介
高田耕平(はなすたべるくらす舎 代表/言語聴覚士)
総合病院にてICUから外来まで経験後、地域にて摂食・嚥下リハビリや講演活動を行っている。簡易食物硬さ測定器カメルカ(第67回京都府発明等功労者表彰において発明考案功労者優秀賞を受賞)の発明製造などモノづくりを通してカフェや外食企業のアドバイザーなど食支援研究家としても活動している。
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岡崎佳子(メディバンクス株式会社 メディア・編集部)
看護情報誌「ナースマガジン」前編集長。両親を在宅で看取った経験を持ち、栄養・食事をテーマに活動。
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-訪問看護師のお便り-
高齢になると、病気や嚥下障害などの影響で、食べたいのに十分な量を摂取できなかったり、食べるのに時間がかかったりすることがあり、食事介助の負担が大きくなります。
ご家族は工夫を重ねて献身的に対応されていますが、老老介護では十分に対応しきれないこともあり、介助の仕方によっては、誤嚥を招くのではないかとヒヤヒヤすることもあります。ご家族にもできる、安全な食事介助の方法やコツを教えてください。

1:誤嚥を防ぐための安全な食事姿勢とは?
―横になったままの食事は危険・・・背中や足、肘が安定する姿勢を意識しよう!
岡崎
今回は食事介助についてのお便りです。誤嚥をしない安全な食事介助をするために、大切なポイントは何でしょうか?
高田
まず大切なのは姿勢です。椅子に座れる方は、背もたれがあり足が床につく状態で、首を少し前に傾けた姿勢で食べるのが基本となります。ベッド上で食べる場合、上体を起こさず、横になったまま食べるのは一番誤嚥しやすい姿勢です。背もたれの角度を40度くらいにし、枕を使って軽くうなずく姿勢を作ります。
岡崎
「腕をテーブルの上に置くことも大切」と聞いたことがあります。
高田
自分で食べられる方は、肘をテーブルにつけると楽に口まで運ぶことができます。腕がぶら下がった状態では腕の重みを支えなければならないため首に力が入りやすく、飲み込みにくさにつながることがあります。

2:食事介助のタイミングとスプーン操作のコツは?
―のどぼとけの動きで飲み込みを確認してから次の一口を運ぼう。スプーンはまっすぐ入れてまっすぐ抜く!
岡崎
一口量や口に運ぶタイミングについて、先生はどういったところを意識しているのか教えてください。
高田
「食べ物が口の中からなくなったら飲み込めている」と判断しないことが大切です。飲み込むときはのどぼとけが「ごっくん」と上下に動くため、その動きを確認してから次の一口を口に運びます。急いで次を入れると、のどの奥に食べ物がたまって、誤嚥につながることがあります。
また、一口の量はティースプーン1杯程度を目安にしてください。
岡崎
スプーンを口に入れるときのポイントはありますか?
高田
食べ物は舌の前の方ではなく、真ん中あたりに置くことを意識しましょう。前の方に置いてしまうと、奥まで運ぶ動きが必要となります。ばらけやすい食事をうまくまとめられない方の場合、口の中に食べ物が残り、むせてしまうことがあります。
また、スプーンを口に入れた後、上あごに当てて擦り切るように引くと、食べ物が上あごにべたっとはり付いてしまうことがあります。まっすぐ入れてまっすぐ抜く、と意識してください。
3:交互嚥下のメリットとは?
―誤嚥を防ぎ、食事量の維持につながる!
岡崎
「交互嚥下」という言葉を聞いたことがあるのですが、どのような方法ですか?
高田
飲み込みにくいものと飲み込みやすいものを交互に食べる方法です。例えば、ばらけやすい食べ物のあとに、とろみがついたものを飲み込むことで、口やのどに残った食べ物をまとめて流してくれるので誤嚥の予防につながります。また、飲み込みにくいものばかり続けると疲れて食事量が減ってしまうことがありますが、交互嚥下を取り入れることで、安全に量もたくさん食べられる場合があります。
岡崎
そうなんですね。ゼリーとかでも良いんですか?
高田
その方にとってゼリーの方が飲み込みやすいということであればゼリーを使いますし、ゆっくり流れるとろみの方が飲み込みやすいようであればとろみを選択します。
4:食事介助の負担を減らしつつ、食事量を維持するには?
―食べやすいメニューを取り入れ食事時間を短縮し、不足分はおやつも活用し1日を通して補おう!
岡崎
ご家族も長時間の食事介助で疲れたり、注意力が落ちたりすることがあると思います。そんなときは、どうすればよいでしょうか?
高田
どれだけ注意していても、食事介助が長時間にわたると集中力が落ちてしまいます。食事は集中力が保てる30〜40分以内を目安に終えられるよう工夫することが大切です。例えば、少し硬いものが食べられる方でも、すべてを硬い食事にすると時間がかかり疲れてしまいます。硬めのものとやわらかいもの、ペースト状のものを組み合わせるなど、献立の中で食べやすさを調整するとよいでしょう。
また、食事だけでは必要なエネルギーを確保できない場合は、おやつや水分補給の時間に栄養のあるゼリーやジュースを取り入れ、1日を通して補うという考え方もあります。プリンやカスタードクリーム、アイスクリームなどは、飲み込みやすくエネルギーやたんぱく質も補える食品です。
岡崎
1回の食事だけで判断せず、1日全体でどのくらい食べられたかを考えることが大切なんですね。
5:FAQ
Q1. 安全に食事介助を行うには、何に気をつければよいですか?
A. 姿勢に気をつけましょう。横になったまま食べると誤嚥しやすいため避けてください。身体を起こし、首を少し前に傾けてうなずくような姿勢を作って食べるのが基本です。
Q2. 一口の量はどのくらいが目安ですか?
A. 個人差はありますが、ティースプーン1杯程度の量が目安です。
Q3. 飲み込めたかどうかは、どのように確認すればよいですか?
A. 口の中に食べ物があるかないかで判断せず、のどぼとけが「ごっくん」と上下に動いたかどうかで確認しましょう。
Q4. 食事に時間がかかる場合は、どうすればよいですか?
A. 食事時間が30~40分程度になるよう、硬いものとやわらかいものを組み合わせるなど、食べやすさを調整すると良いでしょう。無理に食事だけでエネルギーを摂ろうとせず、おやつやジュースなども活用し、1日を通して確保するのも1つです。
6:今回のまとめ
食事介助では、「姿勢」「一口の量」「飲み込みの確認」を意識しましょう。食べる方の状態に合わせて、食形態を工夫し、無理なく安全に食べられる環境を整えることが大切です。
また、介助する側も無理をせず、食事時間や栄養の補い方を工夫しながら、長く続けられる方法を見つけていきましょう。
【キーワード解説】
食事介助:
食べ物を口に運ぶだけでなく、安全に食事ができるよう姿勢や食事環境を整えながら支援することです。
嚥下:
食べ物を口に入れて"ごっくん"と飲み込み、食道から胃に送り込む一連の動作のことを言います。
誤嚥:
本来食道に入るべきものが誤って気管に入ってしまうことで、むせたり肺炎につながったりすることがあります。
交互嚥下:
物性が異なる食品を交互に摂取し、口やのどへの残留を防ぐ食べ方のことです。
【参考文献・出典】
・enge.jp 嚥下にまつわる情報サイト|ニュートリー株式会社
【関連記事への内部リンク】
・読む介護飯(かいごはん)ラジオ|【15】食べ物が気管に?うまく飲み込めない方の食事の工夫
