ドキュメンタリー
食べられるってすばらしい!
食べる喜びを取り戻すために
多職種チームで挑む摂食えんげリハビリ
左:ヒロユキさん 右:ヒロユキさんのお父さん
ヒロユキさん(50代)は2023年に脳卒中を発症。利き手を含めた右半身に麻痺が残るとともに、口から食べることが困難になり、胃ろうが必要になりました。その姿を見たお父さんは「再び口から食べられるようにしてあげたい」と強く願い、摂食えんげリハビリテーションに力を入れる医療法人社団 登豊会 近石病院(岐阜県岐阜市)にヒロユキさんを託しました。
リハビリは、歯科医師をリーダーに、歯科衛生士、管理栄養士、言語聴覚士という多職種が連携して行われました。身体的なリハビリを行う理学療法士、作業療法士なども加わり、「食べる」に徹底的に向き合います。チーム全員が本人の「食べたい」という意志、お父さんの思いに応えるべく「退院時には三食すべて口から食べられること」を目指して約2カ月のリハビリを乗り越え、ゴールに到達できたのです。
「状態によっては経口摂取へ戻すことが難しい場合もありますが、口から食べたい、食べさせたいというお気持ちが少しでもあるならば、諦める前に一度、専門の医療機関に相談されることをおすすめします。」(歯科医師・森田 達先生)
"食べられる"を目指す摂食えんげサポートチーム
歯科医師
森田 達先生
役割:診療を担当。チームリーダー
入院時、口の動きが悪く、のどへ食べ物をうまく送り込むことができませんでしたが、内視鏡やレントゲンを用いたえんげ検査をしたところ、食べ物がのどに達すれば、スムーズにえんげ反射が起こることを確認でき、回復の可能性を感じました。評価をもとに多職種で連携しながらヒロユキさんにリハビリを行ったことで、胃ろうから早期に脱却でき、口から食べることができるようになったと考えています。
歯科衛生士
堀 佐和子さん
役割:口腔衛生管理、口腔を中心としたリハビリ
長期間口から食べていなかったためこわばっていた口周りや舌を動かすリハビリを実施しました。痛みも伴い辛いこともあったと思うのですが、「頑張れますか」と尋ねるといつも答えは「はい、頑張ります」と。心強かったです。
管理栄養士
淺井 ひのさん
役割:食形態の調整や栄養管理
飲み込みの状態にあわせて、ペースト食やきざみあんかけ食など細かく食形態を調整しました。不足する栄養を補うために、高濃度の栄養補助食品やえんげ困難者用のゼリーも活用。退院時には、軟らかいごはんや1口大のおかずを完食できるようになり、嬉しそうにされていたのが印象的でした。
きざみあんかけ食
軟飯・一口大
言語聴覚士
和田 三生子さん
役割:摂食えんげリハビリ、食事介助
最初は舌を自分の意志で動かすのが難しい状態でした。ハチミツや綿球を使う、スルメをよく噛むといったリハビリを行った結果自分で舌を動かせるようになり、三食口から食べるというゴールを達成できました。
リハビリが進み、食べ物をのどに送り込めるように。
理学療法士 作業療法士
右半身麻痺や体幹保持のための体のリハビリを実施
看護師
入院中のケアを実施
入院当初はできなかったあっかんべーも今では簡単にできるように。
ヒロユキさんが食べられる喜びを取り戻すまでのストーリーはこちら。
制作:メディバンクス株式会社 『食べられる喜び』応援プロジェクト
※本記事の内容は個人の体験談です。摂食えんげの状態によって対応が異なります。
※内容は2025年4月取材当時のものです。
![LW2512_PH01_LivingWell2025年12月号[新規].png](https://www.nutri.co.jp/tabe-labo/images/578bb6ed0c14979204195e4dc3ccf640632585da.png)