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読む介護飯(かいごはん)ラジオ

ここで学べること
「高齢者の痩せ対策委員会」がお届けするPodcast番組「専門家が答える介護飯ラジオ」のWEBページ版です。食支援の専門家をゲストにお招きし、リスナーから寄せられた、介護や食事、痩せに関するお悩みに回答します。

専門家が答える読む介護飯(かいごはん)ラジオ
認知症による食の変化とその関わり方


・公開日:2026年9月28日
・ゲスト:山中光茂(医療法人社団しろひげファミリー しろひげ在宅診療所 理事長・院長/医師)
・所要時間:本文約5分


本記事はPodcast番組「専門家が答える介護飯(かいごはん)ラジオ」第34回のWEBページ版です。
介護における「食事」や「痩せ」に関するお悩みに、食支援の専門家が回答します。



■ゲスト・パーソナリティ紹介
山中光茂(医療法人社団しろひげファミリー しろひげ在宅診療所 理事長・院長/医師)
在宅領域の医師として患者・家族の生活に寄り添う診療を行いながら、24時間365日対応の在宅医療体制づくりに取り組む。医師としてケニアで医療支援に携わった後、三重県議会議員、松阪市長を歴任。その後、在宅医療の現場に戻り、現在は東京都江戸川区を中心に訪問診療を行う。一人ひとりの価値観や暮らしを大切にしながら、"その人らしく生きること"を支える医療を実践している。


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岡崎佳子(メディバンクス株式会社 メディア・編集部)

看護情報誌「ナースマガジン」前編集長。両親を在宅で看取った経験を持ち、栄養・食事をテーマに活動。


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-50代男性のお便り-
認知症の母は、最近、食べ方が分からなくなってきたようで、おかずとごはんをずっとかき混ぜていたり、食事の途中で手が止まってしまったりすることが増えました。食事に集中できず、以前より食べる量が減って体重も落ちています。調子が良い日は自分で食べてくれますが、少しでも体重を維持してほしいと思い、栄養補助食品も取り入れています。それでも毎回の食事介助は大変で、痩せていく母を見ていると心配になります。どのように関わればよいのでしょうか。



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1:認知症になると食べることにどんな変化が起きるの?


―過食になる人がいる一方、食事量が減ってしまう場合も。量とあわせて食事の内容にも注意が必要!


岡崎
認知症が進行すると、食事にはどのような変化が起こるのでしょうか?


山中
認知症の症状によって、食べたことを忘れてしまい、過食や水分・食事の過剰摂取につながる場合があります。一方で、今回のお便りのように、食べる意欲が低下したり、食べること自体が難しくなったりして、食事量が減ってしまう方もいます。


岡崎
食事量が減るとどのような影響があるのでしょうか?


山中
本来必要なたんぱく質などの栄養素が不足します。特に一人暮らしの高齢者では、ご飯やパンなどの炭水化物は比較的とれていても、肉や魚、卵などに含まれるたんぱく質やビタミン類、亜鉛などの微量栄養素が不足しがちになります。その結果、痩せてしまって体力や活気が低下したり、さまざまな病気につながったりすることもあります。認知症の方では、食事量だけでなく、食事の内容にも目を向けることが大切です。





2:食事を途中でやめてしまうとき、家族はどう関わればよいの?


―無理のない食事環境をつくろう。好みに合わせた栄養補助食品の活用も有効!


岡崎
食事の途中で食べるのをやめてしまう場合、どうすればよいのでしょうか?


山中
食べる量が減ったり、途中で席を立ってしまったりする場合は、その時点では食べることへの欲望がないということなので、無理に食べさせようとしないことです。
たくさん食べられなくても、ご本人が食べたいと思うタイミングで、食べられるものを取り入れながら、結果として栄養バランスが整うような環境をつくれると理想的なんです。そのためには、医師や管理栄養士など、さまざまな専門職と連携しながらその方に合った無理のない食事環境をつくっていくことが必要だと思います。


岡崎
普段の食事だけでは十分に栄養をとれないときにできることはありますか?


山中
本来は食事でバランスよく栄養をとることが望ましいのですが、難しい場合には栄養補助食品を活用する方法もあります。私たちは安価に使える保険適用の栄養剤を使うことも多いですが、最近市販されている栄養補助食品は種類が豊富で、エネルギーが高いものや、たんぱく質・亜鉛など、必要な栄養素や味の好みに応じて選ぶことができます。味もなかなか良いので、たくさんの選択肢の中からご本人にあうもので必要な栄養素を補っていくことも、痩せを防ぐための有効な方法です。


栄養剤や栄養補助食品は、「これを飲んでいるのだから、他のことは頑張りすぎなくても大丈夫」と思えるお守りのような存在にもなるのです。





3:体調や食欲に波があるとき、できることは?


―薬の影響を見落としがち。医師や薬剤師に相談して薬とうまく付き合おう。


岡崎
お便りのように体調に波があり、調子が悪いときや食欲が落ちているときに家族が気を付けることはありますか?


山中
調子が悪くなる時間帯には、薬の作用が関係していることがあるんです。例えば、朝方や夕方に体調を崩しやすい場合、その理由の一つとして24時間作用するタイプの薬を飲んでいることが考えられます。薬の効果が弱まるタイミングで、症状がでやすくなります。


岡崎
調子が悪い原因として、薬のタイミングも関係してくるのですね。


山中
そうなんです。それに調子が悪く食欲が落ちているときに、食後の薬を飲まなきゃいけないからと無理に食事をしたり、食べられなかったからと薬を控えたりすると、体調に影響することがあります。また、認知症による食欲低下と思っていても、うつ症状や不安など様々な症状が影響していることもあります。服用時間や治療・薬を見直すことで不調が和らぎ食生活が改善する場合もあるため、医師や薬剤師に相談しながら調整することが大切です。


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4:食事の介助が負担になってきたら、家族はどこに相談したらよいの?


―家族だけで抱え込まず、地域包括支援センターなどに相談を!


岡崎
毎日の食事介助が辛くなってくる家族も多いと思います。どこか相談にのってくれる先はあるのでしょうか?


山中
相談先としては、地域包括支援センターや在宅診療所がおすすめです。介護サービスや必要な専門職につないでくれる窓口です。その他にも、担当のケアマネジャーや通院している病院の医療相談室などに相談することもできます。大切なのは、家族だけで抱え込まないことです。専門職による介護が入ることで、家族の「食べさせなければ」という負担が軽くなり、ご本人に愛情をもって接する余裕もうまれます。





5:FAQ


Q1. 認知症になると、食べることにどのような影響が生じるのですか?
A. 認知症では、食べたことを忘れてしまい過食や水分の過剰摂取につながる場合があります。一方で食事を忘れる、食欲が低下する、食べる動作が難しくなるなどの変化が起こり、食事量が減り、必要なエネルギーや栄養素が不足して、体重が減少することがあります。


Q2. 食事の途中で食べるのをやめてしまう場合は、どのように対応すればよいですか?
A. 無理に食べさせず、本人が食べたいと思うタイミングや食べやすいものを優先しましょう。食事環境を整えたり、専門職に相談したりしながら、本人に合った食べ方を探すことがポイントです。


Q3. 食事量が少ない場合、栄養を補う方法はありますか?
A. 毎日の食事だけで必要な栄養をとることが難しい場合は、栄養剤や栄養補助食品を活用すると、たんぱく質やエネルギー、ビタミン、ミネラルなど、不足しやすい栄養素を補えます。


Q4. 認知症の家族の食事について、どこに相談したらよいですか?
A. 相談先としては、地域包括支援センターや医療機関がおすすめです。ケアマネジャー、管理栄養士などの力を借りながら、本人に合った食事環境を整えていくことが安心につながります。家族だけで抱え込む必要はありません。


Q5. 体調が悪いときは、食事や薬をどのように調整すればよいですか?
A. 体調不良や食欲低下は薬の影響がある場合があります。服用時間や治療薬を見直すことで不調が和らぎ食生活が改善する場合もあるため、医師に相談しながら調整しましょう。





6:今回のまとめ

認知症が進行すると、食欲や食べる力の低下によって、体重減少や栄養不足につながることがあります。大切なのは無理に食べさせることではなく、本人が食べたいと思える環境を整えること。
必要に応じて栄養補助食品を活用したり専門職に相談したり、その人に合った食事の工夫を続けましょう。




【キーワード解説】


認知症:
脳の機能が低下し、記憶や判断力、日常生活に影響が出る状態。認知症になると、食べたことを忘れる、食欲が低下する、食べる動作が難しくなるなど、食事にもさまざまな変化が起こります。


栄養補助食品:
食事だけでは不足しがちなエネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを補う食品。食欲が低下しているときや体重減少が心配なときでも無理なく栄養を補給することができます。ドリンク・ゼリーなどの形態、味、栄養素の種類が豊富で好みや用途に応じて選択できます。




【参考文献・出典】


キーワードでわかる臨床栄養|ニュートリー株式会社
・認知症
・栄養不良




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