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読む介護飯(かいごはん)ラジオ

ここで学べること
「高齢者の痩せ対策委員会」がお届けするPodcast番組「専門家が答える介護飯ラジオ」のWEBページ版です。食支援の専門家をゲストにお招きし、リスナーから寄せられた、介護や食事、痩せに関するお悩みに回答します。

専門家が答える読む介護飯(かいごはん)ラジオ
がん治療の副作用で食欲不振に
「食べられない」への向きあい方


・公開日:2026年9月24日
・ゲスト:川口美喜子(札幌保健医療大学 保健医療学部栄養学科 教授/マギーズ東京 管理栄養士)
・所要時間:本文約5分


本記事はPodcast番組「専門家が答える介護飯(かいごはん)ラジオ」第30回のWEBページ版です。
介護における「食事」や「痩せ」に関するお悩みに、食支援の専門家が回答します。



■ゲスト・パーソナリティ紹介
川口美喜子(札幌保健医療大学 保健医療学部栄養学科 教授/マギーズ東京 管理栄養士)
医学博士。島根大学医学部附属病院で栄養管理室長を務め、NST(栄養サポートチーム)を立ち上げるなど、"食事を通した治療"に積極的に参加。現在は大学で後進を育てながら、地域医療の場でも栄養指導や栄養ケアを行い、栄養学の知識を具体的な食事に落とし込んで多くの人を支援している。


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岡崎佳子(メディバンクス株式会社 メディア・編集部)

看護情報誌「ナースマガジン」前編集長。両親を在宅で看取った経験を持ち、栄養・食事をテーマに活動。


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-50代男性のお便り-
がんの治療を始めてから、ずっとおなかの調子が悪く、頻繁に下痢をするようになりました。体重も減ってきており、「このままどんどん弱っていくのかな?」と不安になります。



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1:「また下痢をするかも...」。食事への不安を和らげるには?


―お腹を温めたり、マッサージしたりして、心身ともにリラックスして食事ができるようにしてみよう!


岡崎
がんの治療によって、下痢をしやすくなることはよくあるのでしょうか?


川口
はい。治療で使う薬の影響で腸内環境が変化し、下痢を起こすことがあります。また、消化管はストレスの影響を受けやすいので、不安や緊張、心配事があると症状が悪化することも少なくありません。


岡崎
「また下痢になるかも...」と思うと不安になってしまいますね。


川口
そうですね。「食べたから下痢をした」というより、「下痢が怖いから食べられない」という患者さんはとても多いです。そのため、食事内容だけでなく、不安を和らげる工夫も大切です。例えば、お腹をカイロなどで温めたり、やさしくマッサージしたりすると、身体がリラックスして安心感が得られる、なんてこともあるんですよ。





2:副作用で下痢があるときは何を食べればよいの?


―ヨーグルトやチーズなど、脂質も適度に取り入れてエネルギーを確保。水分補給にスポーツドリンクを活用すれば栄養も補給できる!


川口
「油ものは下痢をしやすい」と思い込んで、脂質をまったくとらなくなる方がいます。しかし、体重や体力を維持するためには、適度な脂質も大切です。ヨーグルトやチーズ、プリン、ババロアなどは、エネルギーも高いので、とってほしい脂質です。ポテトサラダをおすすめすると、「マヨネーズは大丈夫ですか?」と驚かれる方もいますが、酸味もあるので、味覚障害がある人にもおすすめですよ。


岡崎
具体的なメニューの名前が出てくると、食卓のイメージが湧いて気持ちが明るくなりますね。


川口
安心しますよね。あと下痢の時には水分もとって欲しいですね。ただのお茶や水だけではなく、スポーツドリンクや栄養補助飲料、リンゴジュースや果汁を薄めたものなどを利用して、水分と一緒にたんぱく質や糖質、ミネラルも補給するとよいでしょう。それが大丈夫だったら、次はポタージュなど、流動的でお腹にやさしいものへと少しずつ進めていきます。





3:副作用で食べられないときにできる工夫は?


―ひと口だけでも口にして消化管を刺激すると食欲がわいてくることも。栄養補助食品なども活用して栄養を補おう!


岡崎
体重を落とさないために、先生が患者さんにお伝えしている食事の工夫はありますか?


川口
なかなか食欲がわかないときもあると思うのですが、まずは何かひと口でも口にしてみましょう、とお伝えしています。食べ物が口に入ると消化管が刺激され、食欲がわいてくる場合があります。例えば、冷凍したフルーツをひとかけらなめるだけでも「何か食べようかな」という気持ちにつながります。
また、味覚障害がある方でも酸味は感じやすいことが多いため、トマトやきゅうり、みょうがなどをピクルスにして冷蔵庫に常備し、少しずつ口にするのもおすすめです。


ドラッグストアには、高エネルギータイプの栄養補助食品が販売されていますし、意外かもしれませんが見てみてほしいのが離乳食やスポーツをする方向けのコーナーです。高たんぱく・高エネルギー食品など、食べやすく栄養価の高い商品が数多くあります。体調や好みに合わせて上手に利用するとエネルギー不足の予防につながります。今の状態で食べられるものを思い浮かべることも副作用の対策のひとつになると思います。


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4:体重がどのくらい減ったら注意が必要?


―1週間で体重の約2%が減少する状態が、2週間続く場合は要注意!


岡崎
注意が必要な体重減少の目安を教えてください。


川口
例えば、体重50kgの方が1週間で体重の2%、つまり1kg減るのは、大きな変化です。下痢や食欲低下によって短期間で体重が減ることもありますが、その状態が続いてしまう場合は注意が必要です。2週間で合計2kg減った場合は、食事量の不足や消化吸収機能の低下など、何らかの原因が考えられます。
体重が減った原因を振り返り、早めに医療従事者へ相談しましょう。そのためにも、日頃から体重や食事量、体調の変化を記録しておくことをおすすめします。





5:FAQ


Q1. がん治療の副作用で下痢が続くときは、食事を控えたほうがよいですか?
A. 下痢が続くと食べることが不安になりますが、食事を控えすぎると体重や体力の低下につながります。身体をリラックスさせて食べられるものを少量ずつでもとり、体重の維持を心がけましょう。


Q2. 下痢をしている場合、脂質は控えたほうがよいですか?
A. 体重維持のためには適度な脂質も必要です。プリンやババロア、ヨーグルト、チーズなど食べやすくエネルギーを補給しやすい食品を無理のない範囲で取り入れましょう。


Q3. 下痢の際の水分補給で気を付けることはありますか?
A. 下痢が続くと水分が失われやすくなります。水やお茶だけでなく、スポーツドリンクや栄養補助飲料、リンゴジュースや果汁を薄めたものなどを利用し、水分と一緒にたんぱく質や糖質、ミネラルを補給することも大切です。


Q4. 食欲がないときは、どのような工夫をするとよいですか?
A. 「食べなければ」と考えすぎず、少しでも食べられるものを食べましょう。冷凍したフルーツや酸味のある食品をひと口食べるなど、口への刺激が食欲のきっかけになることもあります。


Q5. 体重が減ったときに注意すべきことはありますか?
A. 1週間で体重の約2%の減少が2週間以上続く場合は注意が必要です。食事量の不足や消化吸収機能の低下など体重が減った原因を振り返り、早めに医療従事者へ相談しましょう。





6:今回のまとめ

がんの副作用から起こる下痢は食事内容だけでなく、薬の影響や不安・ストレスなどでも起こることがあります。
下痢を恐れて食事を控えるのではなく、体重を維持することを意識し、脂質を含む食品や栄養補助食品なども上手に活用しましょう。
1週間で体重が約2%減少する状態が2週間以上続く場合は注意が必要です。




【キーワード解説】


消化管:
口から食べたものを消化し、栄養を吸収する器官の総称。口、食道、胃、小腸、大腸、肛門からなり、食事や栄養を体に取り込む重要な役割があります。


味覚障害:
食べ物の味を感じにくくなったり、味が変化したりする状態。がん治療の副作用として起こることがあり、食欲低下の原因になる場合があります。


栄養補助食品:
食事だけでは不足しがちなエネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを補う食品。食欲が低下しているときや体重減少が心配なときでも無理なく栄養を補給するために活用できます。ドリンク・ゼリーなどの形態、味、栄養素の種類が豊富で好みや用途に応じて選択できます。




【参考文献・出典】


キーワードでわかる臨床栄養|ニュートリー株式会社
・下痢
・味覚障害




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