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読む介護飯(かいごはん)ラジオ

ここで学べること
「高齢者の痩せ対策委員会」がお届けするPodcast番組「専門家が答える介護飯ラジオ」のWEBページ版です。食支援の専門家をゲストにお招きし、リスナーから寄せられた、介護や食事、痩せに関するお悩みに回答します。

専門家が答える読む介護飯(かいごはん)ラジオ
歯磨きだけじゃない! ?全身の健康につながる口腔ケアのススメ



・公開日:2026年6月30日
・ゲスト:長谷剛志(公立能登総合病院 歯科口腔外科 部長)
・所要時間:本文約5分


本記事はPodcast番組「専門家が答える介護飯(かいごはん)ラジオ」第19回のWEBページ版です。介護における「食事」や「痩せ」に関するお悩みに、食支援の専門家が回答します。




■ゲスト・パーソナリティ紹介
長谷剛志(公立能登総合病院 歯科口腔外科 部長)
口腔外科の専門医として診療を行いながら、高齢者の食支援や、それに伴う医師と歯科医師の連携強化に取り組む。2011年には「食力の会」を立ち上げ、施設ごとに異なっていた食形態を整理して「食形態マップ」を作成。高齢化が進む今だからこそ"口から食べること"を追求し、日々の実践に反映させている。


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岡崎佳子(メディバンクス株式会社 メディア・編集部)
看護情報誌「ナースマガジン」前編集長。両親を在宅で看取った経験を持ち、栄養・食事をテーマに活動。
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―60代男性のお便り―

90歳になる母のことで悩んでいます。
最近、食事をあまり食べられないせいか、元気がなくなってきて、体を動かすことも少なくなってきました。歯は残っているのですが、食事を終えると、口の中が気持ち悪いと言います。入れ歯を作ることも検討し、市販のグッズを使った口腔ケアを試してみようと思うのですが、ケアに必要なものや正しい方法、注意点などを教えてください。



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1:口腔ケアの役割とは?


―「きれいにすること」だけではなく、「食べる力を維持すること」「乾燥させないこと」も重要!


岡崎
今回は口腔ケアについてのお便りです。まずどういうことをすればいいのか、何が大切なのか教えていただけますか?


長谷
口腔ケアと聞くと、一番にお口の掃除をイメージされるかと思います。歯や、口の粘膜、舌の清掃が重要です。きれいにすることに加え、舌の動きや噛む力、飲み込む力などの運動機能を整えること、口の中の乾燥を防ぐために唾液の分泌を促すことも広くは口腔ケアなんですよ。
お口の状態が悪いのに放置してしまい口の機能が低下すると、あまり噛まなくてもいいような質素な食事になってきます。例えば、お茶漬けとか麺類だけとか。やわらかい物中心の偏りのある食生活を続けていると噛む力は衰えますし、口から入ってくる刺激や味が単調だと、唾液の分泌も少なくなります。





2:口腔ケアをやらないとどうなる?


―放置は肺炎・糖尿病・認知症など全身の病気リスクを高めることにつながる!


岡崎
口腔ケアをせずに放置してしまうと、どんな健康上のリスクがあるのでしょうか?


長谷
細菌だらけの唾液を誤嚥してしまうと誤嚥性肺炎になるリスクも高まるんですよ。
さらに怖いことに、口の中の虫歯菌や歯周病菌が腸に入ってくると、腸内フローラのバランスを崩し、免疫力が低下して色々な病気にかかりやすくなります。腸に侵入した細菌の毒素が、動脈硬化、2型糖尿病、肥満、脳卒中や心臓病にも関与すると考えられているんです。一部ではアルツハイマー病、認知症の原因になるとも言われています。


岡崎
そんなにですか。本当に体のいたるところに関連するんですね。私自身もしっかりケアしないと...


長谷
ぜひ取り組んでみてください。
口腔ケアで食べられる口を整えておくことは、栄養状態を良好に保つことにもつながります。体力や抵抗力、筋力量、そして活動量を維持改善するなど、口のケアは文字通り「全身の健康」に影響するんですよ。





3:いざ、口腔ケアを実践。どんなアイテムを使ってどのように行う?


―毎食後の歯磨きと就寝前がポイント!歯間ブラシ・フロスで歯間もケア。


岡崎
口腔ケアを実践する時の具体的なポイントを教えていただけますか?


長谷
食事の後は食べかすをすみかとして、虫歯菌や歯周病菌などの細菌が増えてきますから、タイミングとしては毎食後、朝昼晩の歯磨きがおすすめです。
就寝中は口腔内に菌が繁殖しやすい状態ですので、特に寝る前には絶対。
さらに、就寝中に口の中で繁殖した細菌を体内に入れないために、起床時や朝食前にも磨くといいですね。朝食前に歯を磨く人と磨かない人は、肺炎になるリスクが違うと言われているんですよ。


岡崎
あると便利な口腔ケア用品や、注意点などはありますか?


長谷
一番大事なのはやはり歯ブラシです。歯の表面は最も細菌が付着しやすいですし、歯垢はこすらないと落ちません。歯と歯の間の汚れには、歯間ブラシ、フロスや糸ようじを使用してください。
お歳を重ねた方など、舌や粘膜が出血しやすい方は、その部分を歯ブラシでゴシゴシすると炎症を作ってしまうので、柔らかいスポンジブラシなどを使い、仕上げに保湿剤を塗って潤いを保つことも大切です。





4:歯磨きだけじゃない!お口の機能を保つためにできることは?


―会話や歌で声を出す!生活の中で楽しく運動機能を鍛えよう!


岡崎
その他に、普段の生活で取り入れられる工夫はありますか?


長谷
先ほどお口の状態は全身に影響するという話をしましたが、逆に全身の状態もお口の機能に影響するんですよ。
例えば、話したり歌ったり、声を出すこと。普段呼吸しているだけではなかなか鍛えられない喉や口の訓練になります。周囲とコミュニケーションをとることにもつながりますね。


岡崎
人とおしゃべりをするとか、カラオケに行くとか、何か面白いものを見て大きな声で笑うとか。そういうことも広い意味での口腔ケアなんですね。



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5:FAQ


Q1. 口腔ケアとは具体的に何をすることですか?
A. 歯や口の粘膜・舌の清掃に加え、舌の動きや噛む力などの運動機能を整えること、唾液の分泌を促して口の中の乾燥を防ぐことが大切です。


Q2. 口腔ケアを怠るとどんなリスクがありますか?
A. 細菌だらけの唾液を誤嚥すると誤嚥性肺炎のリスクが高まります。また虫歯菌や歯周病菌が腸内フローラのバランスを崩し、動脈硬化・2型糖尿病・認知症などにも関与するとされています。


Q3. 歯磨きはいつ行うのがベストですか?
A. 毎食後、1日3食であれば朝昼晩に歯磨きをしましょう。就寝中は細菌が口の中にたくさん繁殖するため、寝る前の歯磨きは「絶対」です。


Q4. 歯ブラシ以外に使うと良い口腔ケア用品はありますか?
A. 歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは取れないため、歯間ブラシという細いブラシや、フロスという糸ようじのようなものを使用するのがおすすめです。


Q5. 日常生活でできる口腔ケアの工夫はありますか?
A. 話したり歌ったり、声を出すことがすごく大事です。会話や歌を歌う機会をつくることで口の運動になり、周囲とのコミュニケーションにもつながります。





6:今回のまとめ


口腔ケアとは、口の中をきれいにすること・動かすこと・乾燥させないことが基本です。
口の中の細菌を放置すると誤嚥性肺炎や動脈硬化、認知症など全身の病気にも影響します。
毎食後の歯磨きと歯間ブラシの使用、会話や歌で口を動かす習慣が、食べられる口を整え全身の健康を維持することにつながります。




【キーワード解説】


口腔ケア:
歯・口の粘膜・舌の清掃に加え、舌の動きや噛む力、飲み込む力などの運動機能を整えることです。また、口の中の乾燥を防ぐために唾液の分泌を促すことも含まれます。


誤嚥性肺炎:
食べ物や唾液とともに、口腔内の細菌が気管に入ることで引き起こされる肺炎です。


歯周病:
歯と歯ぐきの隙間から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態、それに加えて歯を支える骨を溶かしてグラグラにさせてしまう状態を合わせて、歯周病といいます。


腸内フローラ:
腸内に存在する腸内細菌の集まりのこと。体の免疫機能と密接に関わっているといわれています。


歯垢(プラーク):
歯の表面に付着している細菌の塊で、虫歯や歯周病の主な原因。水でうがいをしても除去できないため、歯ブラシによる丁寧なブラッシングが必要です。




【参考文献・出典】


・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~
・誤嚥性肺炎(ニュートリー株式会社公式ホームページ キーワードでわかる臨床栄養)
・腸内細菌叢(ニュートリー株式会社公式ホームページ キーワードでわかる臨床栄養)