問題解決する栄養療法⾷品

ドキュメンタリー 
食べられるってすばらしい!

ここで学べること
「食べられない…」を解決し、「食べられる!」を実現するまでのストーリーをお届けします。

同じ料理を、同じ空間で――
出張えんげ食が叶えた3年ぶりの食事会


画家の佐々木さんは、間質性肺炎、誤嚥性肺炎などの影響で食べ物をうまく飲み込めなくなり、大好きだった食事の時間がつらい時間となってしまいました。焼肉が大好物で、自身の絵画教室の生徒たちとにぎやかに食事をするのが何よりの喜びでしたが、それも難しくなりました。しかし、「また食べられるようになりたい」という思いが少しずつ状況を動かし、「出張えんげ食 ふじ家」のサービスで3年ぶりに生徒さんとの食事が実現したのです。


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[紹介]
佐々木さん(仮名):画家。1941年生まれ、北海道出身。学生のころから絵を描くことが好きで、映画の看板を描く仕事をしていたことも。近年は絵画教室を主宰するとともに、現在も絵を描き続けている。


肺炎をきっかけにえんげ障がいに。
食事の時間がもどかしくつらい時間へ。


佐々木さんは、2024年の夏に間質性肺炎を発症、誤嚥性肺炎による入院の影響もあり、今まで通り食事を飲み込むことが難しくなりました。食べることが好きで、好物は焼肉とコーラ。自身が開催していた絵画教室の生徒たちと、教室のあとや展示会に行ったあとににぎやかに食事をするのが楽しみの一つでした。
「先生と一緒に展示会に行ったあとのお食事会は毎回本当に盛り上がりました。(肺炎で)入院されてから食べられない状態だと聞き、ほかの生徒さんたちとどんなものなら食べられるだろう? また美味しいものを食べたときの先生の笑顔が見たいと考えたのですが、何かあったら恐いと差し入れできずに諦めていました」(絵画教室の生徒だった安西さん)


20260304-DSC01633.jpg安西さん(仮名)。絵画教室では佐々木さんから水彩画を習っていた。


2024年の秋、佐々木さんは高齢者施設に入所しました。当時食べられたのは、ミキサーでペースト状にしたえんげ食でした。
「当時は施設としても誤嚥のリスクを最優先に考えざるを得ず、安全に飲み込めるミキサー食を提供していました。佐々木さんは食事のたびにとてもつまらなさそうで、すごい勢いで食べてすぐにお部屋に戻ってしまう。とても食を楽しんでいるようには見えませんでした」(施設長の石田さん)


20260304-DSC00084.jpg佐々木さんの入所する高齢者施設(神奈川県)の施設長 石田さん(仮名)。


施設では、入居者全員がリビングに集まって食事をします。当時、佐々木さんは通常食を食べているほかの入居者と一緒に食事をとるのが辛かったと言います。
「目の前の人がとても美味しそうな食事を、残したりこぼしてしまったりしているのを見て、なんてもったいないんだ!あんなに美味しそうなのに!と、本当につらい気持ちでした」(佐々木さん)


歯科医師指導のもと摂食えんげリハビリテーションを開始。原動力は"食べたい気持ち"。


佐々木さんの様子を見た施設長の石田さんは、食事を少しでも楽しんでもらいたいと思い、2024年の冬、摂食えんげ障がいに詳しい歯科医師の小川先生に相談しました。



20260304-DSC00771.jpgあさがお歯科 小川先生。歯科医師として摂食えんげリハビリテーションに取り組むほか、
えんげ食の料理教室を定期的に開催している。



「検査をしたところ咀嚼には問題はありませんでしたが、うまく食道が開かないために食べ物が送りこまれず、飲み込みがうまくできない状態だとわかりました。右を向くと食道が開くこともわかったので、少量ずつ、ゆっくり右を向きながら食べていただくことにしました」(小川先生)


少しでも形があるものが食べられるよう、リハビリテーションも行いました。食道入口部が開くように、また、のどの筋力低下も疑われたので、手のひらでおでこを押す「えんげおでこ体操」や、舌の運動、吹き戻し(口にくわえて息を吹き込むと伸び、止めると巻き戻る紙製のおもちゃ)などで、飲み込みの改善に努めました。
「佐々木さんはとてもおしゃべりが大好き。本当に陽気で、診察時にはおしゃべりが止まらないほど。話すことは喉や口腔内のよいトレーニングでもあります。そして何よりも、ご本人の食べたいという気持ちが強く、前向きなので、それだけでもうまくいくという確信が持てました。」(小川先生)


「普通のごはんが食べたくても、誤嚥してしまったらみなさんに迷惑をかけてしまうので、当時はがまんしていたんです。いろんなものが食べられるようになりたくて、リハビリに取り組んでいました。」(佐々木さん)


もっと食事を楽しんでほしいという石田さんはじめ施設のスタッフとも連携し、ミキサー食の量を増やすことから始まり、とろみをかけた刻み食を少しずつ取り入れながら、約半年で小さく刻んだお肉やお寿司を時々食べられるところまで進みました。


20260304-DSC01837.jpg最近では施設での食事がどれも美味しく感じるという佐々木さん。


しかし佐々木さんは、「本当はね、ふつうの食事を食べたいんですよ。焼肉を食べてコーラを飲めるようになりたい。入院して以来、外食もしていませんし...。」と顔を曇らせます。


諦めていた食事会が3年ぶりに実現。
会席料理に舌鼓。


石田さんが小川先生に相談したところ、自宅などに出張してえんげ食を提供する「出張えんげ食 ふじ家」のサービスの紹介を受けます。「出張えんげ食 ふじ家」では、お客さまの自宅などに訪問して、通常の食事とえんげ食を同じメニューで提供。えんげ障がいがある人でも、家族や友人と同じメニューを一緒に食べることができます。


ミシュランガイドにも掲載された京都の有名旅館で腕を磨き、高級和食店で料理長を歴任した料理人・藤原史朗さんが、4〜5品の会席料理を振る舞います。えんげ食には、医療機関でも使用されているニュートリー社製のゼリー化材が使われます。


「食べること=生きる力」と考える石田さん。ふじ家のサービスは、その思いと重なると感銘を受け、施設以外での食事ができていない佐々木さんにぴったりのサービスではないか...と、「ふじ家」のサービスを利用することにしました。


その話を聞いて佐々木さんは大喜び。北海道に住む親戚や、知人に連絡をしたところ、絵画教室の生徒だった安西さんが一緒に「ふじ家」のサービスを体験することになりました。「佐々木先生と一緒に食事ができるのは3年ぶりです。本当に楽しみです。」(安西さん)

そして、当日。
2人の前には、見た目も美しい会席料理が並びました。2人の顔には笑顔が広がります。


20260304-DSC00109.jpg安西さん用の通常食


20260304-DSC00108.jpg佐々木さん用のえんげ食(ニュートリー社製のゼリー化材使用)


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メニューは前菜(かぼちゃの煮物、一寸豆、れんこんのきんぴら)、

お造り(中とろ、車海老、平目)、だし巻き卵。ほかに、たけのこごはんも提供された。
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「器も盛り付けもいいね」(佐々木さん)
20260304-DSC02613.jpg3年ぶりの乾杯!


さっそく食事を始めると、佐々木さんの箸は止まることなく、無言で次々とお造りや煮物を口に運びます。安西さん、見守る小川先生から、「先生、味わってね!」「ゆっくり食べてくださいね!」と何度も声がかかるほど。


20260304-DSC00138.jpg「出張えんげ食 ふじ家」料理人 藤原史朗さん(左)から
説明を受けながら、料理を食べる佐々木さん。


こんなに美しい見た目の食事は入院して以来初めてだという佐々木さん。一段落したところで「うまいね、さすがだね。」「みんな美味しかった。特にマグロが美味しかった。」「飲み込みやすかった。」と感想が止まりません。

結局、提供されたメニューすべてを完食しました。


20260304-DSC02646.jpg今回提供されたえんげ食は、藤原さんが佐々木さんの状態に合わせて調整したもの。
小川先生による物性のチェックも行われた。


「今日は私一人がご一緒しましたが、先生はみんなでワイワイとお食事するのが大好きです。しかも、先生だけ明らかに違う料理というのではなく、みんな同じ料理だったらもっと嬉しいですよね。もうそんな機会はないと諦めていましたが、次はぜひほかの生徒さんも一緒にお食事したいです。」(安西さん)


いつまでも"描き続ける"ために。
次の目標は「みんなで行く焼肉」。


佐々木さんは今も毎日絵筆を握り、絵を描き続けています。描いた絵を施設に来る人にプレゼントしたり、地域の保育園などの施設に寄贈したりするほか、施設に飾ってある自身の絵を見学者に案内することもあります。「一生懸命描いた絵を見て、いろんな人が喜んでくれるのが嬉しくて描いています。」(佐々木さん)


20260304-DSC02808.jpg早朝から集中して絵を描くのが日課。


絵を生きがいに過ごす佐々木さんの次の目標は「焼肉を食べに行く」こと。石田さんには具体的なプランがあるようです。
「きざみ食を食べられるようになって、小川先生の許可が下りたら...近所の高級な焼肉屋さんで、ランチじゃなくて、ディナーを食べましょうね! 佐々木さん!」(石田さん)
「今回の食事会をきっかけに、食べられるものがさらに増え、"焼肉ディナー"を実現できるとよいなと思っています。」(小川さん)


みんなで焼肉に行ける日を目指して、「食べる」ことへの挑戦は続きます。


20260304-DSC02664.jpg施設内にも佐々木さんの作品が飾られている。




制作:メディバンクス株式会社 『食べられる喜び』応援プロジェクト


※本記事の内容は個人の体験談です。摂食えんげの状態によって対応が異なります。
※内容は2026年3月取材当時のものです。